Linuxのlessコマンドとmoreコマンドは、長いテキストファイルやコマンド出力を画面単位でページング表示する定番ツールです。両者は基本的な利用方法は共通ですが、操作性やオプションの豊富さに違いがあります。ここではそれぞれの使い方、オプション、違いと使い分けポイントまで網羅的に解説します。
lessコマンドとは
lessは「more」から進化した高機能ページャーです。双方向スクロールや検索、大量ファイルでも軽快に閲覧可能です。
主なオプション一覧(主要なもの)
| オプション | 説明 |
|---|---|
| -N | 行番号表示 |
| -R | 色付き文字表示(カラーコードを解釈) |
| -S | 折り返しせず横スクロール |
| -F | 1画面以下なら自動終了 |
| -X | 画面内容を残して終了 |
| -i | 検索時に大文字小文字を区別しない |
| -p | 検索状態でファイル開始 |
| +F | ファイルの変化をリアルタイム追尾 |
| +/文字列 | 検索語から表示開始 |
| -M | 詳細ステータスを表示 |
| -g | 検索時に最初の一致のみハイライト表示 |
| -f | 通常は開けない特殊ファイルを強制的に開く |
| –follow-name | ファイル名が変わっても追跡(ログ解析向け) |
helpや詳細確認:less起動後 h もしくは man less
moreコマンドとは
moreは古参のシンプルページャーです。下方向のみ閲覧可能で、動作が軽量。
- 使用例:
more /etc/passwd - ページ送り:
Space - 一行送り:
Enter - 検索:
/検索語でその位置までジャンプ - 終了:
qキーで終了
主なオプション一覧
| オプション | 説明 |
|---|---|
| -num | 1ページの表示行数指定 |
| +/検索語 | ファイル開始時に指定語句から表示 |
| -s | 連続する空行を1行にまとめる |
| -l | 改ページを無視(^L文字を改行扱い) |
| -d | 無効キー時に簡易ヘルプ表示 |
| -c | 画面に重ねてページ表示 |
| -p | 画面クリアしてページ表示 |
| -u | 下線を無効にする |
複数ファイル同時表示:ファイル名も画面に表示。lessではコマンドラインに通知、moreでは画面に明示的に表示される。
lessとmoreの違い・使い分け
| 項目 | less(推奨) | more(シンプル) |
|---|---|---|
| 双方向スクロール | 上下可能 | 下方向のみ |
| 検索機能 | 前方・後方両方、ハイライト | 前方のみ |
| オプション | 豊富で応用範囲広 | 基本のみ |
| 複数ファイル | コマンドライン通知 | 画面で明示表示 |
| メモリ消費 | 多機能だが軽量 | 非常に軽量 |
| 終了 | qキー | qキー/末尾到達で自動終了 |
| 画面終了時 | 内容保持可(-X) | 保持不可 |
実践的なコマンド例
less -N -R /var/log/syslog # 行番号付き&色付きログ閲覧
less +F /var/log/access.log # リアルタイムログ監視
more -10 /etc/passwd # 1ページ10行で表示
more +/root /etc/passwd # 「root」行から表示開始まとめ
Linuxのlessとmoreはテキスト閲覧に欠かせないコマンドです。lessは高機能・自由な操作性、moreはシンプル・低リソースという特徴があり、状況と目的に応じて使い分けるのがおすすめです。




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