Pythonは豊富な標準ライブラリを備えており、追加インストール不要で多彩な機能をすぐに使えます。この記事では、Python標準ライブラリの概要と代表的なモジュールについて、用途や特徴を交えながら分かりやすくまとめます。
Python標準ライブラリとは?
Python標準ライブラリとは、Python本体にあらかじめ含まれているライブラリ群です。インストール直後から利用でき、ファイル操作、日付処理、データ変換、数学計算、乱数生成など、プログラミングに必要な機能を幅広くカバーしています。
主要なPython標準ライブラリ一覧(代表例)
モジュール名 | 主な用途・特徴 |
---|---|
os | OS依存の機能(ファイル/ディレクトリ操作、環境変数取得など) |
sys | Pythonインタプリタや実行環境の情報取得・制御 |
datetime | 日付・時刻の取得、計算、フォーマット変換 |
time | 時間計測、プログラムの一時停止、システム時刻取得 |
calendar | カレンダー情報の取得、日付計算 |
math | 数学関数(対数、三角関数、定数eやπなど) |
random | 疑似乱数の生成、ランダムな値の取得 |
json | JSONデータの読み書き、Pythonオブジェクトとの相互変換 |
csv | CSVファイルの読み書き |
re | 正規表現による文字列検索・置換 |
zoneinfo | タイムゾーンのサポート |
よく使われる標準ライブラリの具体例
1. osモジュール
ファイルやディレクトリの作成・削除、パス操作、環境変数の取得など、OSに依存した処理を簡単に実装できます。
import os
print(os.listdir('.')) # カレントディレクトリのファイル一覧を表示
2. sysモジュール
コマンドライン引数の取得や、Pythonのバージョン情報、標準入出力の制御など、実行環境に関する情報取得に便利です。
import sys
print(sys.argv) # コマンドライン引数のリストを表示
3. datetimeモジュール
現在時刻の取得や日付計算、フォーマット変換など、日付・時間の処理に必須。
from datetime import datetime
print(datetime.now()) # 現在の日時を取得
4. timeモジュール
時間の計測やプログラムの一時停止、システム時刻取得などに使います。
import time
time.sleep(1) # 1秒間プログラムを停止
print("1秒経過しました")
5. calendarモジュール
カレンダー情報の取得や日付計算に便利です。
import calendar
print(calendar.month(2025, 4)) # 2025年4月のカレンダーを表示
6. mathモジュール
数学的な計算(平方根、三角関数、指数・対数など)や定数(π, e)を利用可能。
import math
print(math.pi) # 円周率
print(math.sqrt(16)) # 16の平方根
7. randomモジュール
乱数の生成や、リストからランダムに要素を選ぶ処理などに活用できます。
import random
print(random.randint(1, 10)) # 1から10までのランダムな整数
8. jsonモジュール
PythonオブジェクトとJSON形式の相互変換が可能。API連携やデータ保存に役立ちます。
import json
data = {'name': 'Alice', 'age': 25}
json_str = json.dumps(data)
print(json_str) # {"name": "Alice", "age": 25}
9. csvモジュール
CSVファイルの読み書きをサポートし、データの入出力や加工が容易です。
import csv
from io import StringIO
csvfile = StringIO("name,age\nAlice,25\nBob,30")
reader = csv.reader(csvfile)
for row in reader:
print(row)
10. reモジュール
正規表現による複雑な文字列検索や置換処理を実現できます。
import re
text = "連絡先: test@example.com"
match = re.search(r'\w+@\w+\.\w+', text)
if match:
print(match.group()) # test@example.com
11. zoneinfoモジュール
タイムゾーンのサポートができます(Python 3.9以降)。
from datetime import datetime
from zoneinfo import ZoneInfo
dt = datetime.now(ZoneInfo("Asia/Tokyo"))
print(dt) # 東京の現在時刻
他にも知っておくと便利な標準ライブラリ
collections
(高度なデータ構造:deque, Counter, defaultdictなど)itertools
(イテレータ操作のためのツール)functools
(関数型プログラミング支援:lru_cache, partialなど)shutil
(ファイルやディレクトリのコピー・移動・削除)subprocess
(外部コマンド実行)logging
(ログ出力)configparser
(設定ファイルの読み書き)argparse
(コマンドライン引数のパース)pathlib
(オブジェクト指向のパス操作)
などもあります。
用途に応じて、公式ドキュメントで検索・確認することをおすすめします。
まとめ
- 本記事のリストで、実用的なPython標準ライブラリの主要部分はカバーしています。
- さらに細かいニーズや特殊な用途には、上記の「他にも知っておくと便利な標準ライブラリ」も活用してください。
- 詳細や全リストはPython公式ドキュメント 標準ライブラリをご参照ください。
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