WindowsでLinux環境を手軽に利用できるWSL(Windows Subsystem for Linux)。開発や検証を進める中で「環境をバックアップしたい」「復元したい」と考える方は多いでしょう。本記事では、WSLのバックアップ・リストア方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
WSL環境はデフォルトでは自動バックアップされません。PCの故障や誤操作によるデータ損失を防ぐため、定期的なバックアップが重要です。また、同じ環境を複数作りたい場合や、環境を丸ごと別PCへ移行したい場合にも便利です。
WSLのバックアップは、コマンド一つで簡単に行えます。主に以下の手順で進めます。
まず、現在インストールされているWSLディストリビューションを確認します。
wsl --list --verbose
または
wsl -l -v
これで、バックアップしたいディストリビューション名が分かります。
バックアップしたいディストリビューションを.tar
ファイルとしてエクスポートします。
wsl --export <ディストリビューション名> <保存先ファイル名>
例:
wsl --export Ubuntu C:\Users\ユーザー名\Documents\Ubuntu_backup.tar
このコマンドで、指定したディストリビューションの環境が丸ごとバックアップされます。
バックアップした環境をリストアする方法も簡単です。
エクスポートした.tar
ファイルを新しいディストリビューションとしてインポートします。
wsl --import <新しいディストリビューション名> <インストール先フォルダ> <バックアップファイル名>
例:
wsl --import Ubuntu-restore C:\Users\ユーザー名\Documents\wsl\Ubuntu C:\Users\ユーザー名\Documents\Ubuntu_backup.tar
これで、新しいディストリビューションとして環境が復元されます。
リストアが完了したら、以下のコマンドでディストリビューション一覧を確認します。
wsl --list
新しいディストリビューション名が追加されていることを確認しましょう。
インポートした環境はデフォルトでrootユーザーで起動される場合があります。デフォルトユーザーを変更したい場合は、/etc/wsl.conf
に以下の設定を追加してください。
[user]
default = ユーザー名
設定後、一度ディストリビューションを再起動すると反映されます。
バックアップを自動化したい場合は、シェルスクリプトやタスクスケジューラを利用する方法もあります。また、バックアップファイルをクラウドストレージに保存することで、PC故障時にも安心です。
WSLのバックアップ・リストアは、コマンド一発で簡単に行えます。環境の移行や複製、データ損失対策として活用しましょう。本記事の手順を参考に、ぜひWSL環境の管理を効率化してください。