ソフトウェア開発やWeb制作の現場で、今や必須となっている「Git」。
「Gitってよく聞くけど、何ができるの?」「コマンドが多くて覚えられない…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Gitの概要からインストール方法、よく使う基本コマンドとその使い方までをわかりやすくまとめています。
初心者の方はもちろん、復習したい中級者の方にも役立つ内容です。
この記事を読めば、Gitの基本操作がしっかり身につき、チーム開発や個人開発で安心してバージョン管理ができるようになります。
Gitとは
Gitは、ソースコードやファイルの変更履歴を管理するための、代表的な分散型バージョン管理システムです。開発現場ではもちろん、デザイナーやライターなど幅広い分野で利用されています。Gitを使うことで、ファイルのバージョン管理が容易になり、過去の状態への復元や複数人での安全な共同作業が可能になります。分散型の特徴として、各ユーザーのローカル環境にリポジトリ(履歴を含む完全な複製)が作成されるため、ネットワークに接続できない状況でも履歴の確認や編集が行えます。
主な特徴は以下の通りです。
- 変更履歴を記録・追跡できる
- 複数人で同時に開発・編集ができる
- 過去のバージョンに簡単に戻せる
- オフライン環境でも作業可能
- ファイルの差分や編集者を管理できる
Gitのインストール方法
GitはWindows、macOS、Linuxなど主要なOSで利用できます。以下に代表的なインストール手順をまとめます。
Windowsの場合
- Git公式サイトからインストーラーをダウンロードします。
- ダウンロードしたインストーラー(例:Git-2.49.0-64-bit.exe)をダブルクリックして実行します。
- セットアップウィザードの指示に従い、「Next」をクリックしながら進めます。特にこだわりがなければ基本的にデフォルト設定で問題ありません。
- インストールが完了したら、スタートメニューに「Git Bash」が表示されていれば成功です。
- コマンドプロンプトまたはGit Bashで
git --version
を実行し、バージョンが表示されればインストール完了です。
macOSの場合
- Homebrewを使う場合、ターミナルで以下を実行します。以下のコマンドもしくは、Git公式サイトからインストーラー(.dmgファイル)をダウンロードして、ウィザードの指示に従いインストールします。
- インストール後、ターミナルで
git --version
を実行し、バージョンが表示されれば完了です。
brew install git
Linuxの場合
- UbuntuやDebian系の場合:
sudo apt update sudo apt install git
- RedHat系(CentOS、Fedoraなど)の場合:
sudo yum install git
または
sudo dnf install git
インストール後、ターミナルで 以下を実行して確認します。
git --version
インストール後の初期設定
Gitをインストールしたら、最初にユーザー名とメールアドレスを設定しましょう。
git config --global user.name "あなたの名前"
git config --global user.email "あなたのメールアドレス"
これで、コミット時に誰が変更を加えたか記録されるようになります。
Gitコマンド一覧と用途
コマンド | 用途・説明 |
---|---|
git init | 新規リポジトリを作成 |
git clone | リモートリポジトリをローカルに複製 |
git status | 変更・差分ファイルの確認 |
git add | ファイルをステージングエリアに追加 |
git commit | 変更をリポジトリに記録 |
git diff | 差分の確認 |
git log | コミット履歴の表示 |
git branch | ブランチの作成・一覧表示 |
git checkout | ブランチやファイルの切り替え・復元 |
git merge | ブランチの統合 |
git rebase | ブランチの付け替え・履歴整理 |
git pull | リモートの変更を取得してマージ |
git push | ローカルの変更をリモートに反映 |
git fetch | リモートの最新状態を取得 |
git reset | 直前のコミットや変更を取り消し |
git revert | 特定のコミットを打ち消すコミット作成 |
git stash | 作業内容を一時退避 |
git tag | コミットにタグ付与 |
git gc | リポジトリの最適化 |
git mv | ファイルの移動・リネーム |
基本的なGitコマンドの使い方
1. リポジトリの作成・複製
git init
:新しいプロジェクトでGit管理を始めるときに使います。git clone <URL>
:既存のリポジトリをローカルにダウンロード。
2. ファイルの変更管理
git status
:現在の変更状況やステージング状況を確認。git add <ファイル名>
:変更したファイルをコミット対象に追加。git commit -m "メッセージ"
:変更をリポジトリに記録。
3. 変更内容の確認
git diff
:作業ツリーとインデックスの差分を表示。git log
:コミット履歴を確認。
4. ブランチ操作
git branch
:ブランチの一覧表示や作成。git checkout <ブランチ名>
:ブランチの切り替え。git checkout -b <新ブランチ名>
:新規ブランチ作成と同時に切り替え。
5. 変更の統合・整理
git merge <ブランチ名>
:他ブランチの変更を統合。git rebase <ブランチ名>
:履歴を整理しつつ統合。
6. リモートリポジトリとの連携
git pull
:リモートの変更を取得し統合。git push
:ローカルの変更をリモートに反映。git fetch
:リモートの最新情報を取得(マージはしない)。
7. コミットや作業の取り消し
git reset
:コミットや変更を取り消し。git revert
:過去のコミットを打ち消す新コミット作成。git stash
:作業中の変更を一時的に退避。
8. タグ・最適化などその他
git tag <タグ名>
:コミットにタグを付与。git gc
:リポジトリの最適化。git mv <旧ファイル名> <新ファイル名>
:ファイルの移動・リネーム。
よく使うコマンドの具体例
git init
git clone https://github.com/ユーザー名/リポジトリ名.git
git status
git add .
git commit -m "初回コミット"
git branch feature/new-feature
git checkout feature/new-feature
git merge develop
git pull origin main
git push origin feature/new-feature
git stash
git log --oneline --graph
Gitコマンド活用のポイント
- ステージングエリア(add)とコミット(commit)の違いを理解しよう
- ブランチ運用を活用すると複数人開発や機能ごとの管理がしやすい
- リモートとの同期(pull/push/fetch)をこまめに行い、コンフリクトを未然に防ぐ
- コミットメッセージは分かりやすく簡潔に書くことで履歴が追いやすくなる
- 作業の一時退避(stash)や履歴の整理(rebase)も覚えておくと便利
まとめ
Gitコマンドは最初は難しく感じるかもしれませんが、よく使うものから順に覚えていくのがコツです。プロジェクトやチーム開発の現場で役立つので、ぜひ本記事を参考に日々の業務に活用してください。
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